フジボグサ(藤穂草、学名: Uraria crinita)はマメ科フジボグサ属の常緑亜低木。別名フジボハギ。中国名は、猫尾草(別名:猫尾射、兔尾草)。

特徴

木本状の多年草で、草丈0.3–1.5メートル (m) ほど。葉は大きくやや厚く光沢のある奇数羽状複葉が互生し、側小葉は全縁で1–4対が対生する。小葉は卵形から長楕円形で長さ6–12センチメートル (cm) 。開花期は初夏で、紅紫色の花が多数集まった、長さ約40 cm、直径約4 cmの総状花序を直立させる。その様をフジに見立てて「藤穂草」と命名された。花期は遠くからも花序がよく目立つ。節果は緑色で3–7小節からなり、側面を接して折れ曲がる。染色体数 2 n=22。

分布と生育環境

沖縄県宮古島、石垣島、小浜島、西表島にやや普通に産する。日本国外では台湾、中国、東南アジアなど旧世界の熱帯に広く分布する。低地の道沿いや原野、耕作地の脇や道路法面などの陽地に生える。

利用

中国南部では全草を虎尾輪と称して薬用にし、咳止め、止血、子宮脱、脱肛などに用いる。

近縁種

フジボグサ属は旧世界の熱帯~亜熱帯に20種が分布する。国内では本種の他に2種が同様の環境に生育し、本種とは葉形などの違いで識別可能。オオバフジボグサ(学名:U. lagopodioides、別名ヤエヤマフジボグサ)は単葉~3出複葉で頂小葉が特に大きく、葉面へ不規則に白斑が入る。宮古島、下地島、石垣島、西表島、波照間島に稀に産する。ホソバフジボグサ(学名:U. picta)は奇数羽状複葉で側小葉2–4対、小葉は細長い線形で白斑が入る形態で、宮古島、石垣島、小浜島、西表島にごく稀に産する。

脚注

参考文献

  • 米倉浩司; 梶田忠 (2003年). “フジボグサ Uraria crinita (L.) Desv. ex DC.”. BG Plants 和名-学名インデックス (YList). 2024年6月17日閲覧。
  • 大橋広好「フジボグサ」『朝日百科 植物の世界』 4巻、朝日新聞社、東京、1997年、297頁。ISBN 9784023800106。 
  • 大川智史; 林将之『ネイチャーガイド 琉球の樹木 奄美・沖縄~八重山の亜熱帯植物図鑑』文一総合出版、東京都新宿区、2016年。ISBN 9784829984024。 
  • 大橋広好 著「フジボグサ属 1.フジボグサ」、大橋広好・門田裕一・木原浩・邑田仁・米倉浩司 編『フィールド版改訂新版 日本の野生植物 1巻』平凡社、2021年。ISBN 9784582535389。 
  • 堀田満ほか 編『世界有用植物事典』平凡社、1989年8月25日。ISBN 4-582-11505-5。 

外部リンク

  • フジボグサ 西表島植物図鑑
  • フジボグサ(藤穂草) Uraria crinita 野の花賛花 ―自生の姿を追って―
  • フジボグサ 四季の山野草
  • フジボグサ(藤穂草) うちなー通信
  • フジボグサ ガジ丸の島
  • フジボグサ(藤穂草) こまつなの部屋

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オオバフジボグサ

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フジボグサ

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