喫煙率(きつえんりつ、英:Prevalence of tobacco consumption)とは、調査対象のうちたばこの喫煙を行う人の割合である。「喫煙者率」も同義である。

世界の喫煙率

国別にみると、全人口および男性の喫煙率は、東南アジア・東アジア諸国、ロシアを含む東欧諸国の一部や近東で高く、欧米諸国の先進国では低い傾向にある。 逆に、女性の喫煙率は東アジア諸国の方が極端に低い傾向があり、欧米諸国の先進国ではやや高い。

統計は、主に世界保健機関(WHO)による統計結果と経済協力開発機構(OECD)による統計結果がある。

WHOにある資料(2018年)によると、喫煙率(15歳以上、年齢調整済み)は、中国 (男性47.7、女性1.8)%に対し、スウェーデン (男28.2、女29.3)%、米国 (男30.9、女19.3)%、オーストラリア (18.7、女33.6)%であった。更に、男性で喫煙率が最も高い国はインドネシア(約70.5%)であり、逆に低い国はガーナ(約7.0%)であった。女性の場合は、最も高い国はナウル(約52.6%)であり、逆に低い国は北朝鮮(約0.0%)であった。

OECDの資料(2017年)によると、OECD36カ国の平均が18.0%(男:22.5%、女:13.9%)であり、日本の喫煙率は、17.7%(男:29.4%、女:7.2%)と平均並となっている。日本たばこ産業(JT)は、喫煙率は既に先進国並みの水準になっていると評価している。

各地域とG7の統計の推移(WHOの資料)

地域の詳細は、世界保健機関を参照。上段側が地域名、下段側が国名

出典

  • THE GLOBAL HEALTH OBSERVATORY > World Health Statistics >Prevalence of current tobacco use among persons aged 15 years and older (age-standardized rate)

各国の統計(OECDの資料)

自己申告データによる、15歳以上の喫煙率を示す。

日本の喫煙率

日本の喫煙率は主に厚生労働省による「国民健康・栄養調査」にて調査が実施されている。また、2018年までは日本たばこ産業(以下JT)も調査を実施していた。厚生労働省は、2001年及び2013年以降の国民生活基礎調査の大規模調査(3年に1回)でも調査を実施している。その他、日本医師会など独自に調査し、公表しているところもある。

厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2022年の調査で習慣的に喫煙している者の割合は14.8%で、減少傾向にある(下記統計を参照)。この傾向は、JTの調査や厚生労働省の国民生活基礎調査でも見られ、2018年のJTの調査では、17.9%であり、2022年の国民生活基礎調査では、男性が25.4%、女性が7.7%であった。

JTの調査の推移をみると、日本での成人男性の喫煙率は1966年の83.7%をピークにほぼ一貫して減少を続け、2018年では27.8%となっており、成人女性も1966年の18.0%をピークに少しずつ減少を続け、2018年では8.7%となっている。なお、JTの調査は1965年から始まったもので、それ以前は、戦後の復興と生活水準の向上とともに喫煙率が上昇していた可能性はあるものの、確かなことはいえない。

未成年喫煙経験者率については厚生労働省のサイトを参照

喫煙率に対する見解

日本政府(厚生労働省)の見解

2022年10月11日に厚生労働省健康局健康課により発表された『健康日本21(第二次)最終評価書』によると、喫煙率は⽬標値(成人喫煙率:12%)に達していないが改善傾向にあるとし、 国民の健康の増進の観点から、成人の喫煙率の低下を目指すだけでなく、未成年や妊娠中の喫煙を無くしていくことと受動喫煙を受ける者の割合を減らす目標設定が必要であると同時に都道府県格差のほか、所得や学歴等の社会経済状況の違いによる喫煙率の格差があり、健康面で格差是正の観点からの対策が必要としている。

厚生労働省『受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書』では、今後の課題として「今たばこ価格・たばこ税の引上げによって喫煙率の低下を図ることは重要であり、その実現に向けて引き続き努力する必要がある。」としている。

JTの見解

JTは、喫煙者率が減少傾向にあると評価した上で、その要因として高齢化の進展、喫煙と健康に関する意識の高まり、喫煙をめぐる規制の強化や、増税・定価改定などが挙げられるという考えを示しており、喫煙者と非喫煙者が共存していける社会を目指すと表明している。

喫煙率削減の数値目標

2023年5月現在、厚生労働省は、健康日本21(第3次)にて2032年度(令和14年度)までに12%にし未成年喫煙者を0%にするという目標値を設定している。

かつて、健康日本21や『がん対策推進基本計画』の閣議決定に際し、政府においても度々検討が行われたものの見送りとなっていたことから、2008年3月4日には日本学術会議より発表された『脱タバコ社会の実現に向けて』において「喫煙率削減の数値目標を設定する」との提言が行われた 。なお、独自に喫煙率削減の数値目標を策定している都道府県もある。

日本における統計

厚生労働省の調査(国民健康・栄養調査)

1990年から2015年までは5年ごと、2016年以降は1年ごとの記録を示す。詳細は、国民健康・栄養調査及び最新たばこ情報を参照。

出典

  • 厚生労働省の最新たばこ情報 成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)
  • 令和4年「国民健康・栄養調査」の第4章 飲酒・喫煙に関する状況 2.喫煙の状況 図26 現在習慣的に喫煙している者の割合(20 歳以上、性・年齢階級別)

厚生労働省の調査(国民生活基礎調査)

現在公表されているすべての結果を示す。なお、2016年は熊本地震が起きたため、熊本県のデータを除いた結果である。

出典

  • 厚生労働省の最新たばこ情報 成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)

都道府県別喫煙率

  • データ出典 国立がん研究センター 5.都道府県別死亡データ

年収別喫煙率

  • データ出典 令和4年「国民健康・栄養調査」の結果 Ⅱ 結果の概要 第1部 社会環境と生活習慣等に関する状況 1. 世帯の等価所得※と生活習慣等に関する状況 表2 世帯の等価所得と生活習慣等に関する状況(20 歳以上、男女別)
  • 等価所得年収は、その世帯が当てはまる収入区分の下限と上限の中央値を世帯員数の平方根で除して算出した値である。

日本の未成年の喫煙率

  • データ出典:厚生労働省の最新たばこ情報 未成年の喫煙

脚注

注釈

出典

関連項目

  • 飲酒率

外部リンク

  • Daily smokers - OECD
  • 21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)について(2000年2月)
  • “販売本数”. 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団. 2021年8月11日閲覧。

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